小料理屋や一杯飲み屋に入ると、バイトのお姉さんが「空いてる席にどうぞ!」と声をかけておいて、こちらがテーブルに着くやいなや、おしぼり、割り箸、小鉢を盆にのせてやってきます。おしぼりを袋から出して「おしぼりどうぞ!」と僕に渡し、手や顔を拭っている間に、箸置きに割り箸を置き、「突き出しです。」と言いながら小鉢を差し出します。「突き出し」の他にも「お通し」とか、「前菜」とか、「先付け」という言い方もありますが、どう違うかを考えたことがありますか?基本的にはあまり変わらないような気がしますよね。でも、微妙に違います。
「突き出し」は、客に対してさり気なくお出しするもの、「酒につきもの風」の料理で、余り物で作った当座煮とかお浸しなどが出てくることが多いですね。客は酒を飲みに来たわけですから、酒につきものの料理を出して「お酒は何にしますか?」と暗に聞いているわけです。ですから、突き出しではお金をとれません。
「お通し」は、店にやってきた客が料理を注文する、その注文をお受けした、了解したという意味で出されるものです。「お客さんの注文を了解しました。仲居さん、お席に『お通し』してくださいよ。」という意味の料理で、次に出てくる料理とのつながりを持っています。「突き出し」のような行き当たりばったりの料理ではありません。したがって、お金を取れる料理なんですね。
「前菜」は、西洋料理のオードブルの日本語化したものです。西洋料理では正式の献立に入る前にちょっとした料理が出されることがありますが、これが前菜です。
「先付け」になると「お通し」よりも格が上がります。前菜と同じように正式な献立に入りませんが、あらかじめ献立の一環として作られ、献立の始まる前に出されるものです。先付けは一品料理を小さな器に盛って出すのが慣例になっていますが、最近では、二種、三種の料理を組み合わせた「組もの」を先付けとして出す例も増えているような気がします。まず、箸をつける料理という意味で「箸付」とも呼ばれます。
とまあ、こんな風に違いがあるんですね。いずれも正式な料理ではなくちょっと砕けた「お構いもの」です。最近は、お店の方でこういう基本を知らないことも多く、「突き出し」に値段がついていたりするのを見るとびっくりしてしまいます。
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